FOPの治療とケア
FOPの治療は、症状をやわらげたり、病気の進行を遅らせることが中心で、現時点では病気自体を治す方法はありません。
しかし、治療法の研究は世界中で続けられています。
また、治療法はなくても、患者さんとご家族のためにできることはたくさんあります。
ここでは、治療とケアについてご紹介します。
【監修】鬼頭 浩史 先生(あいち小児保健医療総合センター 副センター長)
FOPの治療は、症状への対処と、進行の予防とケアの2つの軸で行われます。
FOPでは、フレアアップという腫れや痛みが突然起こる時期があります。このフレアアップを繰り返すことで、体の骨化が進んでいきます。
FOPの治療は、フレアアップが起こったときの対処と、フレアアップが起こらないようにする予防が中心になります。
適切な治療とケアが、お子さまの日々を守ることにつながります。
FOPで行われる治療1,2)
FOPの薬物療法には、病気の進行を抑える治療と、症状をやわらげる治療があります。
病気の進行を抑える治療
近年のFOP研究の進展により、フレアアップにかかわらず継続して使用できるお薬がでてきています。
RAR-γ(レチノイン酸受容体ガンマ)アゴニスト
●どんなお薬?
本来骨ではない場所に骨ができる骨化を抑えるはたらきをもちます。
●どんなときに使う?
本来骨ではない場所に骨ができる骨化を抑えるため、継続して使います。
●使うタイミングは?
フレアアップと関係なく、医師の指示に従って使います。フレアアップが起こった時は、医師の判断の下で使用を継続します。
●どのくらいの期間使う?
使用期間は定められていません。医師の指示に従ってください。
症状をやわらげる治療
フレアアップが起こった時に、腫れや炎症、痛みを抑えるためのさまざまな薬物療法が行われます。いずれも、専門医の指導の下でご使用ください。
消炎鎮痛薬
●どんなお薬?
痛みや炎症をやわらげるお薬です。炎症の原因となる物質のはたらきを抑えることで、痛みや腫れを軽減します。
●どんなときに使う?
フレアアップが起こっている時に飲み薬または塗り薬として使います。
●使うタイミングは?
フレアアップが起こってから、医師の指示の下で使用を検討します。
●どのくらいの期間使う?
医師に指示された期間で使用します。
FOPで避けるべき・注意が必要な治療・医療行為1,2)
FOPでは、けがや打撲など、体の損傷がフレアアップを引き起こすきっかけになります。そのため、一般的な医療行為が症状を悪化させることがあります。どのような治療を避けるべきか、または注意をすべきかを知っておくことが大切です。
FOP患者さんがほかの病気や予防接種などで医療を受ける際は、必ずFOPの専門医に相談しましょう。
手術による骨化した部分の切除
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手術で骨を取り除こうとすると、その刺激で新たなフレアアップが起こり、結果的にさらに多くの骨ができてしまうことがあります。手術は症状を悪化させる原因になり得ます。 |
診断のための生検
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FOPの腫れやしこりを腫瘍と疑う場合に実施されることがあります。組織を採取する生検は、その部位を損傷させフレアアップや骨化の進行を引き起こすことがあります。 |
筋肉内注射
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予防接種などで使用される筋肉内注射は、注射による損傷でフレアアップが起こる可能性があります。予防接種は皮下注射で行う必要があります。 |
歯科治療のための麻酔
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下顎への麻酔でフレアアップが起こると、口が開きづらくなったり呼吸がしづらくなったりします。歯科治療はFOP専門医と相談して行う必要があります。 |
他動的な関節可動域訓練(リハビリ)
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第三者が関節など体を動かすリハビリは、筋肉や靭帯に負担をかけてしまい、フレアアップを引き起こす可能性があります。リハビリは患者さんが動かせる範囲で行うことが大切です。 |
マッサージや強いストレッチ
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動かしづらい部分をマッサージしたり、関節を無理にのばしたりすることで筋肉や靭帯が傷つき、フレアアップを起こす可能性があります。 |
日々のケアと予防1,2)
FOPでは、フレアアップを予防し、日々の生活を守るために注意が必要です。
●フレアアップの予防
フレアアップは、以下のようなことがきっかけで起こることがあるので、日々の注意と工夫が大切です。
- 転倒や打撲などの外傷
- 運動のしすぎや激しい運動、筋肉疲労
- 予防接種や歯科治療などの医療行為
- 風邪やインフルエンザなどの感染症
家の中の段差をなくす、手洗い・うがいを習慣化する、医療を受ける際は事前にFOP専門医に相談をするなど、日々の工夫でリスクを軽減することができます。
●理学療法やリハビリテーション
理学療法士をはじめ、他者がFOP患者さんの体を動かす他動的なリハビリは避けましょう。患者さん自身が無理なく自分で動かせる範囲での運動が推奨されています。
●その他の工夫について
病気が進んで動きが制限されてしまうと、さまざまな面で不自由が出てくる可能性があるでしょう。しかし、着替えや食事、通園・通学、呼吸や口腔ケアなど、進行を予防しながら生活の質を守るための工夫をすることができます。
詳しいフレアアップの予防方法や生活の工夫については、「日常生活のために知っておきたいこと」をご覧ください。
研究中の治療について2)
FOPの根本的な治療を目指した新しい治療薬の研究が、世界中で進められています。
詳しくはFOP専門医や患者会にお問い合わせください。
治験への参加に興味をお持ちの方は、専門医にご相談ください。
1) 日本小児科学会. 進行性骨化性線維異形成症. 2024.
(https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20241209_GL002.pdf)(2026年4月アクセス)
2) ICCFOP (International Clinical Council on FOP). The Medical Management of Fibrodysplasia Ossificans Progressiva:
Current Treatment Considerations. July 16, 2024.
(https://fopaustralia.org/wp-content/uploads/2024/10/FOP-GUIDELINES-FINAL-2024.pdf)(2026年4月アクセス)
