FOPって
どんな病気?
FOP(進行性骨化性線維異形成症)は、
本来は骨にならない部分が骨になってしまうことで、体が動かしにくくなったり変形したりする病気です。
とてもまれな病気ですが、正しく知ることで、お子さまをサポートすることができます。
【監修】鬼頭 浩史 先生(あいち小児保健医療総合センター 副センター長)
FOPは正式名称を進行性骨化性線維異形成症といい、体の筋肉や腱、靭帯などが徐々に骨に変わってしまう病気です。とてもまれな病気で、世界的には200万人に1人の割合と推定され、民族や人種、性別、地理的な要因による差はないとされています1,2)。2020年のFOP研究班の報告では、51名(男性28名、女性23名)の患者さんが把握されています1)。FOPは国の指定難病(指定難病272)に指定されており、医療費助成などの支援を受けることができます3)。
FOPになるとどうなるの?1-5)
FOPは、本来骨ではない組織が骨になってしまう病気です。筋肉や筋肉を覆う膜、靭帯などの体の中の軟らかい組織が骨に変わる異所性骨化を起こします。それにより骨が変形してしまうため、体を動かすのが難しくなっていきます。
骨になる前には、腫れやしこりが首や背中、肩などにできるフレアアップという発作が起こります。それを繰り返しながら少しずつ硬くなり、骨になります。
症状は、首や背中、肩などの体の上のほうからはじまって徐々に腕や脚に広がっていき、生活のなかで車いすや介助が必要になります。
どんな症状があるの?2-6)
FOPは、症状の現れ方によって古典的と非古典的に分けられます。
古典的FOP
患者さんの約97%が古典的です2)。生まれたときから両足の親指のかたちが普通と異なり(短く、内側に曲がった変形)、早くて生後数週間から頭や首まわり、背中に腫れやしこりがみられるようになります2-6)。
非古典的FOP
患者さんの約3%が非古典的とされています2)。古典的FOPと比べると症状が軽かったり進行が遅かったりすることがありますが、より重度の場合もあります2)。
何が原因なの?2-7)
骨をつくるためのはたらきを調整するACVR1(ALK2)という遺伝子の異常が原因で起こる病気です。この異常は偶然起こるものなので、同じ病気を持つ患者さんが家族にいることはまれです。
ACVR1という遺伝子は、私たちの体のさまざまなところに存在し、骨や臓器、神経系などの幅広い組織に関与するタンパク質です。ACVR1はBMPというタンパク質と結合して活性化し、骨や臓器などをつくる信号を発信します。また、 ACVR1はアクチビンAというタンパク質とも結合します。アクチビンAと結合したACVR1が活性化するとけがを治したり免疫調整のための信号を発信します。
健康な人の場合は、それぞれの信号が正常に発信されるため骨がつくられたりけがが治ったりしますが、ACVR1が変異しているFOP患者さんでは、BMPとの信号が過剰になるために本来は骨にならないところが骨になってしまったり、アクチビンAとの信号に異常が生じて本来はけがを治すべきところで骨をつくってしまったりします。
1) 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 分担研究報告. 進行性骨化性線維異形成症患者に関する調査研究. 別紙3.(https://fop.umin.jp/pdf/HP2020_reserch_01.pdf)(2026年4月アクセス)
2) ICCFOP(International Clinical Council on FOP). The Medical Management of Fibrodysplasia Ossificans Progressiva:
Current Treatment Considerations. July 16, 2024.
(https://fopaustralia.org/wp-content/uploads/2024/10/FOP-GUIDELINES-FINAL-2024.pdf)(2026年4月アクセス)
3)難病情報センター. 進行性骨化性線維異形成症(FOP)(指定難病272).
(https://www.nanbyou.or.jp/entry/54)(2026年4月アクセス)
4)日本小児科学会. 進行性骨化性線維異形成症. 2024.
(https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20241209_GL002.pdf)(2026年4月アクセス)
5) Kaplan FS, et al. Hum Mutat. 2009; 30(3): 379-390.
6) Pignolo RJ, et al. Orphanet J Rare Dis. 2011; 6: 80.
7) Valer JA, et al. Cells. 2019; 8(11): 1366.
